俗戦国策
杉山茂丸[著]

明治大正、重大国事、秘史外伝――「ホラ丸」杉山の一大自伝著述

真かホラか――。政財界の舞台裏で縦横の策を講じ、伊藤博文、山形有朋らの元老を無私の誠で操った、影武者「ホラ丸」回顧録。《庵主は昔から、自ら土龍(もぐらもち)と称して、世の中に名を出す事が大の嫌いで、単独で、地底ばかりを潜りあるいた男ゆえ、自己の関係した事を世に公にした事は今日まで一度もないのである。然るに今回、多くの人に慫慂されたように、モウ死期が近づいたには相違ないから、このままに死ねば何事も総て堙滅して仕舞うから、四十年間も独り心中に秘して居った事を、トウトウその概略だけ書き綴る事となったのである。》


造本 四六判上製 608p
価格 定価5500円(本体5000円+税10%)
刊行 2006年4月
ISBN 978-4-902854-15-2

●目 次

我国上流の腐敗、下流の健全
――世の勝者と敗者/社会を乱す者/人道の自覚者/庵主六十四年の秘策/庵主十四歳の頃

決闘介添事件
――自由党員と帝政党員/二挺のピストル

黒田清隆と初対面
――後藤象二郎の添書/井上毅の義侠

生首抵当事件
――生別又死別/佐々友房/袋経済/死亡届/生首の質受/佐々、長谷場両氏泣きつく

背汗三斗
――泡沫野郎/地球の成立/蛆虫/ランド/日本

雌伏して風雲を狙う新聞売子
――藩閥の暴威/尾崎文部大臣の脱線/誠の男の働き振りを見よ

帝国憲法発布
――囂々たる輿論/欽定憲法/憲法制定の理由/民主主義の元祖

東亜の大経綸と大官の密議
――我国永遠の大策/西伯利亜問題/支那領土保全問題

血を以て彩る条約改正事件
――沐猴冠振り/国論囂々たる条約改正問題/仏人ポアソナードの忠誠/隠れたる志士、荒尾精

爆弾事件(大隈伯の片足が飛ぶ)
――保安条令/猫の様に独りで喰ってはイケない/兇漢来島恒喜/後藤象二郎立つ/突如後藤に朝命下る

星亨との強談判
――星亨、怒鳴り込む/腹一杯鶏を食う/星のために弁ず

決死の苦諫、伊藤公に自決を迫る
――伊藤公、韓国統監となる/伊藤、約を破る/藤公と一騎打/決然! 長船則光の短刀

一億三千万弗借款事件
――総理大臣相手に経済論争/頭山翁ビックリ仰天/藤田伝三郎の霊に手向ける/二万円転げ込む/素裸で茶漬飯を喰う/黄金王モルガンとの問答

政府と三菱の大経済戦
――三菱の今日あるは大隈重信のお蔭/我死すとも戦には負けるな/日本郵船会社成る/松方蔵相を訪う/危く一騒動

悪政党撲滅論
――政党内閣の鼻祖/悪政党の撲滅を画す/山県の政党嫌い/原敬と張り合う/政友会成る

児玉・後藤と台銀問題
――煩悶病院長/後藤新平、仲々話せるわい/台湾銀行設立の前後

日露開戦の魂胆
――大命井上馨に下る/夜半井上邸に馳す/児玉大将一世の熱弁/伊藤、桂の大論戦

公然たる賄賂収容銀行兼賄賂行使銀行
――京浜銀行/星の子分病/秘密結社内閣/曾禰外務兼大蔵大臣へこたれる/寺内陸相立会証人となる

古鉄責め事件
――乃木将軍、庵主を叱る/日本製悪糖会社/井上雷公、児玉総督をどなりつく/馬越恭平、男でゲス

伊藤公の霊に捧ぐ
――日露戦争内閣/日英同盟の犠牲者伊藤公

日露開戦
――思い起すトラファルガー/日露談判の方針確定(山県の別荘無隣庵会議)/咄! 無礼極まる露政府の返答/日露の戦端開かる/骨抜きの日英同盟/偉なるかな小村の胆/我が露西亜観/要心せよ日本国民/二大国是

牢記せよ国難に当れる先輩の苦心
――猿と蟹と蜂/児玉大将に暗号電報飛ぶ/深夜山県邸へ(軍機泄洩説)/桂首相、突然庵主を招く/媾和曙光/小村外相、金子子爵の奮闘/戦勝と伊藤、山県、桂、小村

戦後の大経綸――満鉄の創立
――山県元帥、叡旨を奉じて奉天に行く/児玉大将と南満洲の経営策を語る/官民合同の南満洲鉄道会社成る/佐久間大将、台湾総督就任/庵主の奇策/後藤新平、怒鳴り散らす/児玉大将の死/後藤新平、満鉄総裁となる/原総理、庵主を皮肉る

反対党も陛下の忠臣
――自由の神板垣を、病床に訪う/山県は痩せた家康/板垣、大隈は陛下の寵臣

電車市有問題
――村上太三郎、小池国三君、深夜の訪れ/恐慌は防がねばならぬ/コンミッション三百万円/後藤の寝覚め

大隈内閣、寺内内閣、政党の罪悪――内閣総理大臣の候補者
――元老の上奏/大隈の出廬/国防会議/政界の二大大法螺吹/大隈と寺内

寺内・原・加藤・田中
――寺内首相に辞職勧告/西園寺侯と原敬/原内閣出現/原敬の最後/原から加藤まで/田中首相に進言

付 録(参考略年譜・杉山茂丸主要著作・主要著名人物略歴)

●著者紹介

杉山茂丸(すぎやま・しげまる/1864-1935)
福岡出身。号は其日庵。明治、大正、昭和の政財界舞台裏で、経済、内治、外交、軍事一体の経綸を仕事とした。国内、台湾、朝鮮における鉄道港湾開発事業や銀行創設、満鉄創設、外債導入などの実業から、日清日露の開戦および終戦講和、さらに内閣や政党の組織工作まで、伊藤博文、山県有朋を初めとする元老や内外の資本家と連携して活動。作家の夢野久作は長子で、その子にインド緑化の父として知られる杉山龍丸がいる。著作は、代表作の『百魔』『俗戦国策』(復刻版書肆心水)『其日庵叢書』(復刻版書肆心水『其日庵の世界』)のほか、趣味とした義太夫浄瑠璃関係を含め多数。