三木清批評選集 東亜協同体の哲学――世界史的立場と近代東アジア
自滅し中断した世界史的革新理念、新生への指針
電子書籍(Kindle版)
十五年戦争期、最も困難な時期において探究された東アジア協同体、その可能性の中心。近代的、すなわち抽象的、自由主義的、個人主義的な世界主義と対抗ナショナリズムを止揚して、新しい世界主義への道を拓く哲学。関連論考を網羅した三木清「東亜協同体」テーマ選集。
「東亜協同体の文化は、恰もルネッサンスの時代に中世的世界主義を克服しつつ現われたイタリアの国民的文化が同時に自己のうちに近代的世界的原理を含んでいたように、世界史の新しい段階に於ける世界的原理となるベきものを自己のうちに含むのでなければならぬ。」
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著者 三木清
書名 三木清批評選集 東亜協同体の哲学――世界史的立場と近代東アジア
体裁・価格 A5判上製 480p 定価6050円(本体5500円+税10%)
刊行 2007年2月
ISBN 978-4-902854-26-8 C0010
初版(紙版)書影
●目 次
Ⅰ 総 論
東亜思想の根拠
日支を結ぶ思想
知性人の立場
汪兆銘氏に寄す
日本の歴史的立場
現代民族論の課題
総論・資料篇
新日本の思想原理
新日本の思想原理 続篇――協同主義の哲学的基礎
Ⅱ 思 想 論
日支思想問題
東洋的人間の批判
新世界観への要求
世界的思想の要望
思想確立の基礎
知性の改造
知慧の秩序
Ⅲ 文 化 論
東洋文化と西洋文化
政治と文化
謙 譲 論
対支文化事業の方向
文化の権威
文化の力
現代哲学の動向
Ⅳ 歴 史 論
日支文化関係史
現代日本に於ける世界史の意義
歴史の理性
戦時認識の基調
Ⅴ 外地印象論
国民性の改造――支那を視て来て
満洲の印象
満洲の教育所見
比島人の東洋的性格
Ⅵ 短 評
『時代と道徳』
『現代の記録』
続 現代の記録
コラム「東京だより」
三木清略年譜
●本書より
協同主義に於ては、一つの民族の協同は単に閉鎖的でなく同時に他民族に対して開かれ、そこに東亜諸民族の協同への道が考えられ、同様に東亜諸民族の協同も単に閉鎖的でなく同時に世界に対して開かれたものと考えられるのである。かくの如きことは、全体と特殊との関係を内在的即超越的と考える論理によって可能である。階級内に於ける個人の独自性を否定する階級的全体主義はその抽象的な合理主義と共に一面的に時間的な見地を力説して空間的な見方を欠くに反し、民族内に於ける個人の独自性を否定する民族的全体主義はその抽象的な非合理主義と共に一面的に空間的な見地を強調して時間的な見方を欠いている。協同主義はそれらの抽象性を共に斥けて、あらゆる歴史的なものは時間的であると共に空間的であり、空間的であると共に時間的であると考える具体的な立場に立つのである。
●著者紹介
三木清(みき・きよし/1897-1945)
哲学者。第一高等学校卒業。西田幾多郎に師事するため京都帝国大学進学し、同大学卒業。1922(大正11)年、ドイツへ留学し、リッケルト、ハイデガーに学ぶ。パリ滞在を経て帰国。1926(大正15)年、『パスカルに於ける人間の研究』を出版。第三高等学校講師を経て、1927(昭和2)年、法政大学文学部哲学科主任教授となり上京。以後、岩波書店の企画編集に協力。羽仁五郎と雑誌『新興科学の旗のもとに』を発刊し、マルクス主義の人間学的基礎付けを試みる。1930(昭和5)年、治安維持法違反の嫌疑で検挙され、これにより教職を失い、著述業生活に入る。1938(昭和13)年、近衛文麿のブレーントラストとして結成された昭和研究会に参加。1945(昭和20)年3月検挙、6月に投獄され、9月26日、病のため獄死。主要著作出版物、『三木清全集』(岩波書店)、『哲学入門』(岩波新書)、『構想力の論理』(未完作品)など。