野上豊一郎批評集成〈文献篇〉――精解・風姿花伝
野上豊一郎[著]
能楽研究のパイオニアが精細に解読する風姿花伝
「秘スレバ花、秘セズバ花ナルベカラズ」の言葉で知られる『風姿花伝』の根本思想である「花」とは何か。『風姿花伝』読解の全篇をその問いで貫き通す、能楽研究のパイオニアならではの力強い批評。全原文の純粋な姿を伝え、三つの底本の全異同も示す本格研究。
シリーズ他巻
野上豊一郎批評集成 能とは何か
野上豊一郎批評集成〈人物篇〉 観阿弥清次 世阿弥元清
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造本 A5判上製 256p
価格 定価7040円(本体6400円+税10%)
刊行 2012年2月
ISBN 978-4-902854-97-8 C0074
●目 次
緒 言
1.『花伝書〔風姿花伝〕』の成立
2. 秘伝の存在理由
3.『花伝書〔風姿花伝〕』以後の世阿弥の秘伝書
4.『花伝書〔風姿花伝〕』の本文検討
5.『八帖本花伝書』
風姿花伝
序章 …… 本文/考異/解説
第一 年来稽古条々 …… 本文/考異/解説
第二 物学条々 …… 本文/考異/解説
第三 問答条々 …… 本文/考異/解説
第四 神 儀
云 …… 本文/考異/解説
第五 奥 義
云 …… 本文/考異/解説
第六 花 修
云 …… 本文/解説
第七 別紙口伝 …… 本文/考異/解説
●著者紹介
野上豊一郎(のがみ・とよいちろう/1883-1950)
東京帝国大学文学部英文学科卒業。夏目漱石門下生。野上弥生子の夫。号は臼川。イギリス・ギリシャ劇の研究から能の研究へ進む。能や世阿弥の海外への紹介にも尽力し、1938年には日英交換教授として外務省から派遣され、ケンブリッジ大学などで世阿弥を講義し、自ら監修した能の初のトーキー「葵上」を紹介して反響を呼んだ。
1908年の大学卒業の翌年、法政大学講師となり、予科長・学監を経て、1947年に法政大学総長となり、文学部内に能楽研究室を設置。歿後、能楽研究室が拡充されて野上記念法政大学能楽研究所が発足。同研究所は現在も能楽研究の最前線を担っている。主な著書に『能――研究と発見』『能の再生』『能の幽玄と花』の三部作、『能の話(岩波新書)』『能二百四十番』『世阿弥元清』『観阿弥清次』『能面論考』『花伝書研究』(本書元本)等。編集監修書に『解註謡曲全集(全6冊)』、『能楽全書(全6巻)』等。翻訳書にロチ原著『お菊さん(岩波文庫)』等。
●本書について
本書の元本は1948年7月刊行の野上豊一郎著『花伝書研究』(小山書店刊)である。半世紀以上を隔てて復刊するに際し、次の理由により書名を『精解・風姿花伝』と改めた。
本書は、序言に「まず良い『花伝書』の定本を持ちたいという研究者の切実な希望を代表して小山書店の小山久二郎君が言い出した」と記されているような時代の要請に応じて著されたものであり、校訂の新しい廉価版の『風姿花伝』(野上豊一郎・西尾実校訂、岩波文庫)が普及した現在では、一般読書界における本書の主な存在価値は、その精しい解説部分にある。故に「研究」の語に代えて「精解」の語を書名に冠した。
また、本書緒言に「『花伝書』といった方が通りがよく、昔から一般にそう言いならわされてあるから、それに従うことにするが、正式の標題は『風姿花伝』というのである。」と記されているように、長年の通称を重んじて「花伝書」の語が主に用いられたのであろうが、現今ではむしろ正式名称の「風姿花伝」のほうが用いられる傾向にあるので、本書の書名には「風姿花伝」を用いた。