満洲問題入門――植民・資本・政策・軍事
矢内原忠雄[著]
ロシアの脅威の時代から中国ナショナリズムとの相克の時代へ――満洲国建国前後の問題の構造を多面的に明かす
同時代のリアルポリティクスに学術性と批評性を標榜する研究はいかに対するか――植民政策学の泰斗による実践。ロシアの脅威に対する防衛として満洲に特別の勢力を張った段階から、中国のナショナリズムが高揚し、ワシントン会議においてアメリカ主唱の下に中国における「特殊権益」が否定され、日英同盟も廃棄された段階に至るも、いよいよ「特殊権益」の地歩を固める日本。あからさまな帝国主義的植民政策が行き詰まる時代において建国された満洲国を画期とする状況の諸問題。
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造本 A5判上製 320p
価格 定価7590円(本体6900円+税10%)
刊行 2021年7月
ISBN 978-4-910213-17-0 C0020
目 次
Ⅰ
満洲新国家論
満洲経済論
満洲植民計画の物質的及び精神的要素
満洲移民問題について
満洲見聞談
満洲国の展望
Ⅱ 満洲問題
第1章 序 論
第2章 特殊権益・その性質
第3章 特殊権益・その内容
第4章 特殊権益・その機関
第5章 列国の競争
第6章 支那の抵抗
第7章 満洲国の成立
第8章 満洲国の組織
第9章 移 民
第10章 貿 易
第11章 投資・統制経済
Ⅲ
植民及植民政策 序
植民の本質
植民政策の理想
植民政策の新基調 序
附 録
朝鮮統治の方針
朝鮮産米増殖計画について
米国の日本移民排斥について
索 引
●著者紹介
矢内原忠雄(やないはら・ただお)1893年生、1961年歿。植民政策学者。1917年東京帝国大学法科大学政治学科卒業、住友総本店入社。1920年東京帝国大学経済学部助教授、欧米留学。1923年帰国、教授。1937年国家批判のため辞職、戦後1945年復帰。1951年から57年まで2期にわたり東大総長。主著、『植民及植民政策』『植民政策の新基調』『帝国主義下の台湾』『満洲問題』『南洋群島の研究』『帝国主義下の印度』『帝国主義研究』など多数。