英米法の歴史と精神
高柳賢三[著]
英米的性格の文化的基底、大陸の法典主義に対する英米の経験主義的な判例法主義
近現代世界をリードし席捲したスーパーパワー英米の基底にある正義と秩序のセンスとテクニック。文化の各領域に見られる、理論的に対して実際的、書斎的に対して実験室的、演繹的に対して帰納的等々の言葉で表現されるアングロ・サクソン的性格の淵源であるイギリス法の伝統。抽象的理念主義思想が退潮し、歴史と経験を踏まえた実際的行動選択の精密な議論が求められる現在、回顧し参照すべき伝統。明治期に独仏大陸法を継受し、戦後は米国流憲法を制定したものの、独仏系思想の影響色濃い近現代日本の人文思想界の視野から外れがちな思想的伝統を知る基本文献。
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造本 A5判上製 352p
価格 定価7590円(本体6900円+税10%)
刊行 2022年1月
ISBN 978-4-910213-23-1 C0032
目 次
Ⅰ 英米法の基礎
序
第一講 コモン・ローのゲルマン法的背景
第二講 国王の裁判所
第三講 裁判官と弁護士
第四講 陪 審
第五講 令状の体系
第六講 王国の一般慣習法と判例法
第七講 法の優位
第八講 コモン・ローとエクイティ
文献解題
Ⅱ 近代英米の法律思潮
英国の法律思潮
イギリス最近の法理学
ベンタムの再生
米国の法律思潮
自然法とプラグマティズム
法律学におけるネオ・リアリズム
索 引
●著者紹介
高柳賢三(たかやなぎ・けんぞう)1887年生、1967年歿。英米法学者、法学博士。東京帝国大学法科大学卒業。同大学助教授を経て、1921年東京帝国大学法学部教授、1948年退官(名誉教授)。のち成蹊大学学長(名誉教授)。東京裁判で弁護人を務め、貴族院議員として新憲法案の審議に参加。憲法調査会会長、学士院会員、米国学士院会員、国際比較法学会正会員、国際仲裁裁判所裁判官。主要著訳書『英米法講義』(第1巻『英米法源理論』第2巻『英国公法の理論』第3巻『司法権の優位』第4巻『英米法の基礎』)、『天皇・憲法第九条』、『極東裁判と国際法』、ロスコー・パウンド『法と道徳』(共訳)、ロスコー・パウンド『法律史観』ほか。