伊藤博文の国際政治 上編
春畝公追頌会(代表者金子堅太郎/編纂主幹小松緑)[著]
近代日本最大の宰相、外交の覚悟と行動――豊富な一次史料で読む、生の歴史の醍醐味
内情と機微を語る伊藤博文ら顕官の書簡、公式発表や条約、講演や外交対話の記録等を多数収めた基本文献。欧米進出の脅威に曝され、憲法を制定し、条約改正を試み、日清戦争、日露戦争に勝利し、韓国併合へと至る、天皇主権による統一日本近代国家の国際的進路。その基本構造を、常に国家運営の中心にあった伊藤博文の主体性が浮き彫りにする。国際関係が再び激動し、再編期を迎えた今、日本外交の原点を省みる縁。
※『伊藤博文伝』中巻・下巻(1940年春畝公追頌会刊行)より国際政治に関する章を抜き出して再構成。
ここのリンク先で本書のなかをご覧いただけます(PDFファイル)
●下編のページへ
造本 A5判上製 320p
価格 定価7590円(本体6900円+税10%)
刊行 2022年8月
ISBN 978-4-910213-28-6 C0020
目 次
[上編]
憲法制定の準備
国憲按起創
公と大隈との意見対立
明治十四年の政変
国会開設の大詔渙発
欧洲憲法の調査
欧洲派遣の勅書
渡欧と憲法研究
憲法に関する公の所信
スタイン招聘の交渉
内政改革への寄与
帰 朝
朝鮮事変と天津条約
明治十七年の朝鮮事変
天津条約の締結
清国水兵暴行事件と海防設備の充実
条約改正談判の頓挫
帝国憲法の制定
憲法の起草
枢密院設置と公の議長就任
枢密院の開院と皇室典範及憲法御諮詢
皇室典範及憲法の審議
帝国憲法の発布
条約改正問題
大隈案と世論の沸騰
時局収拾策御下問
黒田内閣の瓦解と公の辞職
条約改正問題善後処理と山県内閣の成立
松方内閣の成立と大津事件
行政整理と外交問題
日清戦役
日清開戦と公の軍事参画
朝鮮内政の改革
[下編]
日清戦役(承前)
戦時議会と戦局の進展
下関講和談判(上)
下関講和談判(下)
三国干渉
日清戦後の情勢
台湾平定と朝鮮問題
内外政情の推移と内閣更迭
英皇即位六十年祝典参列
清国行
北清事変と公の忠言
日露戦役
日英同盟と公の欧米行
第三次枢密院議長
対露談判と国交断絶
遣韓特派大使拝命
日露講和談判と公の斡旋
韓国の監理
日韓協約の締結
統監就任と韓国施政改善
海牙(ハーグ)密使事件と韓皇譲位
東宮御渡韓と韓太子来朝
韓国内政の刷新
韓皇南北巡幸陪従
韓国併合の廟議
韓国統監より枢密院議長に転任
李王世子同伴東北地方北海道歴遊
満洲行
薨 去
国葬と余栄
索 引
●著者紹介
金子堅太郎(かねこ・けんたろう/1853-1942)
アメリカに留学し、ハーバード大学で法学を学ぶ。井上毅、伊東巳代治らと大日本帝国憲法起草に従事。農商相、法相、枢密顧問官、維新史料編纂会総裁を歴任。著書に『黒田如水伝』『憲法制定と欧米人の評論』『伊藤公を語る』などがある。
小松緑(こまつ・みどり/1865-1942)
慶応義塾卒業後アメリカに留学し、エール大学、プリンストン大学で政治学、法学を学ぶ。外務省に入りアメリカ公使館書記官、朝鮮総督府外務部長などを務める。1916年退官、以後著述に従事。著書に『明治史実外交秘話』『春畝公と含雪公』、編著に『伊藤公全集』『伊藤公直話』などがある。