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伊藤博文を語る――人柄・政治・エピソード
金子堅太郎ほか[著]

親近者が語る人と政治の実像

伊藤博文の国家建設に部下として深く関与した金子堅太郎が語る、人間性と政治の両面から見た伊藤博文入門。憲法と議会をはじめ近代日本の根幹をなす各制度を、伊藤と共に設計した金子堅太郎、井上毅、伊東巳代治らの活動。その実像を伝える話としても貴重な歴史的証言が、天皇主権で国をまとめた伊藤たちの思想と行動、明治政官界の課題と空気をリアルに示す。追頌基調の語りの中に伊藤の欠点や弱点も指摘され、感情面をも含めた伊藤の人物像を浮き彫りにする。(平塚篤編)

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造本 A5判上製 256p
価格 定価6930円(本体6300円+税10%)
刊行 2022年9月
ISBN 978-4-910213-30-9 C0020

目 次

伊藤公を語る 金子堅太郎

公との初対面/公の第一印象/公の日の丸演説/公と大久保の帰朝/米国国務卿の好意/大使派遣の真意義/征韓論の勃発/驚くべき公の深謀/大政治家たるの用意/公の憲法調査拝命/突然の秘書官任命/国体論の経緯/両極端論の研究/公の人物試験/日露戦争と公の立場/悲壮なる公の一言/単身渡米を決心す/誤解せられたる原因/憲法起草当時の公/金沢旅館の盗賊騒ぎ/職制の九変革/諸制度改廃の苦心/聡明なる三条公/最初の内閣総理大臣/念頭唯だ国家のみ/官員選叙の苦心/幼稚なる帝国大学/大学の行政法講義/法典調査と内外人交際/条約改正と谷将軍/所謂秘密出版書事件/いよいよ憲法発布/臨時帝国議会事務局/言い出した私を派遣/帰朝と公の欣び/伊藤公遂に起つ/偉人の大度量/鳥尾子爵の激怒/興味ある一話柄/条約改正問題/托された洋杖/英国廟堂の意向/最も偉いと思う人/海軍拡充の一挿話/公の私生活と夫人/政党組織の念願/政友会成立の端緒/立憲政友会成る/貴族院側の不満/渡辺国武の反対/終に心機一転/七重の膝を八重に/上有一人下亦一臣/記念の揮毫一軸/兇変を知った第一人

春畝公を語る座談会

(座談会参加者)有賀長文/伊藤文吉/石塚英蔵/牛塚虎太郎/岡崎邦輔/大倉喜七郎/斎藤実/阪本釤之助/林権助/松井慶四郎/望月圭介/山本達雄/金子堅太郎/栗野慎一郎/室田義文/中田敬義/小松緑

公と我国海軍/突然釜山に来る/呉工廠の実地視察/日英同盟交渉の頃/深夜にようやく面会/海軍拡張と公/増税案のいきさつ/伊藤公と朝鮮/統監として渡鮮/重大談判に移る/日英同盟の一挿話/日英同盟と日露協商/墨壺と上諭文/筆まめな公/石笛の話/朝鮮の骨董品/遺愛のパイプ/兼平の名刀一振/始めて公と接触/半日の国家/天子様から頂戴/伊藤さんと井上さん/おやじに頼るな/議長を取巻いて議論/宜い学問をしたよ/伊藤公と陸奥伯/朝鮮への貸金問題/柳行李に三百万円/末松の博学多識/桜洲山人と公/日露講和と公の抱負/林董伯の反対/明治大帝の御信任/子分のなかった公/俺は命を捧げている/政党組織と公債/寒山拾得/李鴻章狙撃犯人

索 引

●著者紹介

金子堅太郎(かねこ・けんたろう/1853-1942)
福岡藩出身。1871年、藩主黒田長知に随行して渡米、1878年、ハーバード大学法律学科卒業。井上毅、伊東巳代治らと憲法、貴族院令、衆院議員選挙法などの起草に従事、伊藤博文直系の官僚政治家として活躍。農商務相、法相、枢密顧問官、維新史料編纂会総裁を歴任。著書に『黒田如水伝』『憲法制定と欧米人の評論』などがある。

平塚篤(ひらつか・あつし/1883-1942)
新聞記者、著述業。編著書に『伊藤公手記秘録』『子爵栗野慎一郎伝』などがある。