個人と世界と法哲学――人類史と思想史から法哲学の場所へ
恒藤恭[著]

人類史のなかの法哲学――歴史的に広く見わたされた法哲学の場所と諸課題

電子書籍(Kindle版)

法と哲学の関係は人間の歴史の各ステージにおいてどんな意味を持ってきたか。そして「現代」というステージにおける法哲学の役割は何か。困難な時代に左派自由主義の法哲学者として活躍した恒藤恭が、保守的性格が極めて濃厚な法の世界を個人主義の哲学的立場から基礎づけ、世界戦争を経た「現代」において倫理的自由からさらに法的自由へと進む道の意味を説く。書肆心水の選定による論文集。

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造本 A5判上製 320p
価格 定価7590円(本体6900円+税10%)
刊行 2023年11月
ISBN 978-4-910213-44-6 C0032


初版(紙版)書影

●目 次

法律とヒューマニズム

個人の尊厳――自由の法理との連関から見た個人の尊厳について

 一 個人の尊厳の法的確認
 二 アウグスティヌスの思想
 三 トマス・アクィナスの思想
 四 ルターの思想
 五 カントの学説
 六 個人の尊厳と自由の法理

世界における法と人間

 一 序 説
 二 閉鎖的社会と開放的社会
 三 世界社会の生長
 四 法による利益の調整
 五 法による機能の調整
 六 正義について
 七 法の進展と自由
 八 法と道徳との対照について
 九 世界社会と世界法の体系

法の主体

 一 「法の主体」という語について
 二 法の主体の概念
 三 自然法の主体と実定法の主体
 四 自然人と法人
 五 法的人格と道徳的人格

哲学と法律学との交渉

 序 説
   一 問題の取扱い方について
   二 法律解釈学の特性について
   三 法律解釈学の歴史について
 第一章 近代法律学の成立以前における哲学と法律学との交渉
   一 古代的自然法思想とローマ法律学
   二 スコラ哲学と中世的法律学
   三 自然法学
 第二章 近代哲学と近代法律学との交渉
   一 自然法学説とフランス法律学との連関
   二 フランス法律学とドイツ法律学との対照
   三 ドイツ観念論の哲学とドイツ法律学
   四 歴史法学の哲学的見解
 結 語

法哲学の意義と課題

 一 法哲学について
   一 法哲学とは何か
   二 法哲学と自然法理論
   三 法哲学の学としての位置
 二 法の二重性格について
   一 歴史的・社会的現実の世界と社会規範
   二 社会規範としての法の二重性格
 三 法の実務的・技術的性格
   一 利益の世界としての法の世界
   二 法による利益の調整と機能の統制
   三 法の進化の観点から見た法の実務的・技術的性格
 四 法の公共的性格
   一 法による規制の公共的立場
   二 法の公共的性格と政治的権力
 五 法哲学の動機とその諸課題
   一 哲学的思惟の本領について
   二 法哲学的思惟の主要動機
   三 法哲学の諸課題

法的世界と法的世界観

 一 世界観の一種としての法的世界観について
 二 法理学の根本課題としての法的世界観の確立
 三 問題史的考察
   A 自然法理論と法的世界観の問題
   B 法的実証主義および新カント学派と法的世界観の問題
   C 現代法理学の諸学派と法的世界観の問題
   D 結 語

●著者紹介

恒藤恭(つねとう・きょう/1888-1967)
法哲学者。1916年京都帝国大学法科大学卒業。同志社大学教授を経て1922年京大助教授、1929年同教授。1933年瀧川事件に際して辞職。その後、大阪商科大学(後の大阪市立大学)講師、教授を経て、1949-57年大阪市立大学学長。1946-49年京大教授兼任。1949年学士院会員。1962-65年日本法哲学会理事長。1966年文化功労者。著書に『批判的法律哲学の研究』『国際法及び国際問題』『ジムメルの経済哲学』『羅馬法に於ける慣習法の歴史及理論』『社会と意志』『法律の生命』『価値と文化現象』『法の基本問題』『法的人格者の理論』『新憲法と民主主義』『旧友芥川龍之介』『憲法問題』(復刻版講談社学術文庫)などがあり、訳書にハルムス著『法律哲学概論』、プレハノフ著『マルクス主義の根本問題』などがある。死後出版の論文集に『哲学と法学』『法の精神』『法と道徳』(岩波書店)、『国際法・国際政治・法哲学』(書肆心水)がある。