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〈持続〉の力――ベルクソン『時間と自由』の切り開く新地平
平井靖史・藤田尚志[編]

拡張ベルクソン主義、シリーズ最新刊

アレッサンドラ・カンポ/バリー・デイントン/近藤和敬ほか[著] ベルクソン哲学の現代的射程は計り知れない広がりと深さを秘めている。その土台であり屋台骨となっているベルクソン独自の時間概念〈持続〉。ベルクソンの総ての革新がそこから始まった〈持続〉概念が示される『時間と自由』。その現代的読解の最前線。

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造本 A5判 384p
価格 定価4950円(本体4500円+税10%)
刊行 2024年7月
ISBN 978-4-910213-51-4 C0010

目 次

はしがき 安孫子信
序 論 平井靖史
要旨集

第1部 強度とリズム

1-1 強度的な大きさ――それは撞着語法か、必然の謂いか ――直接的経験のパラドックスに対峙するベルクソンの高次経験論……アレッサンドラ・カンポ(濱田明日郎・木山裕登訳)
1-2 強度概念をめぐる論争とその背景――アンリ・ベルクソンとジュール・タンヌリ……三宅岳史
1-3 ベルクソンの詩法……合田正人

第2部 時間と空間

2-1 時制と時間的延長を結合する――(分析的な)時間形而上学の諸問題を克服するにあたってベルクソンの「質的多様性」が持つポテンシャル……ソーニャ・デッペ(木山裕登訳)
2-2 マクタガートvs.ベルクソン――時制とアスペクトの時間論的射程……平井靖史
2-3 初期ベルクソンにおける数学と空間……近藤和敬

第3部 人格と自由

3-1 『試論』における意思決定と選択の人工的次元……エマニュエル・ピカヴェ(田村康貴訳)
3-2 人格性について――分析哲学的自己論とベルクソンの表現的自我……藤田尚志
3-3 芸術作品としての自由行為――ベルクソンの自由論と19世紀西欧の芸術論……村山達也

第4部 『時間と自由』以降の展開

4-1 自由行為と笑い――ベルクソンの『人間嫌い』解釈から考える……中原真祐子
4-2 ベルクソン記憶論における精神の地位とその変容……天野恵美理
4-3 ベルクソンと脳半球……バリー・デイントン(持地秀紀訳)
4-4 ベルクソンにおける純粋記憶の諸平面の共存をめぐって……S.ミラヴェット、E.デューリング、永野拓也(永野拓也訳)

第5部 持続概念の社会論的展開

5-1 ベルクソンと共に〈植民地的持続〉を考える……アリア・アル=サジ(平賀裕貴訳)
5-2 ベルクソンとフェミニズム――エリザベス・グロスの視点より……檜垣立哉
5-3 ベルクソンの未完の社会学……安孫子信

第6部 持続概念の日本的展開

6-1 「純粋持続」を京都学派に移植する――西谷啓治の場合……杉村靖彦
6-2 「我々は一人で持続するのではない」――ベルクソンと九鬼における偶然性……シモン・エベルソルト

プロジェクトの“持続”とは何か(あとがきに代えて)……藤田尚志
PBJ活動記録(2007.4-2024.3)……藤田尚志
人名索引
事項索引

●編者紹介

平井靖史(ひらい・やすし)1971年生まれ。慶應義塾大学文学部哲学専攻教授。専門はベルクソン、ライプニッツなど近現代哲学、時間と心の哲学、記憶の形而上学。著書に『世界は時間でできている』(青土社、2022年)、訳書にベルクソン『意識に直接与えられたものについての試論』(共訳、ちくま学芸文庫、2002年)、ベルクソン『時間観念の歴史』(共訳、書肆心水、2019年)、ベルクソン『記憶理論の歴史』(共訳、書肆心水、2023年)がある。

藤田尚志(ふじた・ひさし)1973年生まれ。九州産業大学教授。専門はフランス近現代哲学。著書に『ベルクソン 反時代的哲学』(勁草書房、2022年)、訳書にベルクソン『時間観念の歴史』(共訳、書肆心水、2019年)、ベルクソン『記憶理論の歴史』(共訳、書肆心水、2023年)がある。

●著者紹介

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