末弘厳太郎評論新集――資本主義・法治・人情・デモクラシー
末弘厳太郎[著]
「嘘の効用」の末弘厳太郎、『法窓閑話』『法窓雑話』『法窓漫筆』『法窓雑記』からの新集
資本主義化、近代化のなかで法を民主主義的に働かせるための視点と施策。法治近代化の来し方であり、あるいは今なお行く末の課題でもあり、また深く張られた禍根でもある世の諸事情。時代が変わっても変わらない、法治現代化のための考え方を、法社会学の先駆者末弘厳太郎が末弘一流の視点で語る。
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造本 四六判上製 320p
価格 定価6490円(本体5900円+税10%)
刊行 2024年7月
ISBN 978-4-910213-52-1 C0032
本書は末弘厳太郎の一連の評論集『法窓閑話』『法窓雑話』『法窓漫筆』『法窓雑記』から選んだ文章を集めた評論集である。その四書には法が直接話題になっていない社会論等も含まれているが、本書では法治に関する議論であるものを選択し、また川島武宜編の末弘厳太郎評論集『嘘の効用』(上下、冨山房百科文庫)が収めるものとの重複を概ね避けて選択した。本書収録39篇のうち川島編『嘘の効用』と重複しているものは6篇。川島編『嘘の効用』以外の評論集諸版(紙書籍、電子書籍、オーディオブック)にも収められている著名な文章――「嘘の効用」「役人学三則」「役人の頭」「小知恵にとらわれた現代の法律学」「法学とは何か」――は本書には収めていない。
目 次
序 文(法窓閑話 自序)
Ⅰ 司法・立法
不当勾留と国家の賠償責任
誤判賠償の根本原理
司法官と社会思想
司法の権威とデモクラシー
帝人事件と司法権の威信
陪審法に対する一の疑い
山本宣治氏兇死事件に関連して
汽車機関手の過失殺傷
交通機関と公衆の安全
自分の財布を拾った話
司法警察と新聞紙
裁判官は弁明しない
Ⅱ 経済・産業
最低賃金問題
法人妄語
小工業と労働法
成年年齢の話
弁護士報酬問題について
落籾拾いと窃盗
不動産取得税の話
Ⅲ 政府・官庁
時事雑感
現内閣と社会政策
収賄罪に関する雑感
「代理人ハ能力者タルコトヲ要セズ」
国家試験の試験科目
下級官吏と法学的素養
「役人より市民を」
Ⅳ 文化・学芸
著作権は差押え得るか
著作権問答
「著作権問答」について
人は永遠に神を作る
良い新聞記者を作る法律の話
法律と美術
判決の文体
誤訳から生れた法律術語
Ⅴ 家族・親族
淳風美俗と親族法の改正
子に罪をきせる話
子福者に勲章を与える法律の話
母子扶助法
●著者紹介
末弘厳太郎(すえひろ・いずたろう/1888-1951)民法学者、労働法学者。判例研究、法社会学の創始者とされる。1912年東京帝国大学法科大学独法科卒業。アメリカ等に留学。1920年法学博士。1921年東京帝国大学法学部教授。穂積重遠と学部内に民法判例研究会を設立。1946年退官。1947年中央労働委員会会長。主著『物権法』『農村法律問題』『労働法研究』『民法講話』『民法雑考』『法学入門』『民法雑記帳』『続民法雑記帳』『日本労働組合運動史』等。評論集『嘘の効用』『法窓閑話』『法窓雑話』『法窓漫筆』『法窓雑記』等。