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行き詰まりの時代経験と自治の思想――権藤成卿批評集

官治か自治か――明治以来の官僚制国家中心主義に対する生産=生活共同体の自治思想

開国、日露戦勝、世界大戦の好景気を経た後に、不況と大震災後の行き詰まりから血盟団事件、五・一五事件、二・二六事件、戦争の時代へと墜ちていった過去。そして、敗戦復興から高度成長、バブル経済を経た後に、長い不景気と大震災後の行き詰まりへと再び至った現在。かつての行き詰まりの時代経験のなかから生み出された権藤の自治思想が「二周目後半の近代日本」に示す教訓。

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著者 権藤成卿
書名 行き詰まりの時代経験と自治の思想――権藤成卿批評集
体裁・価格 A5判上製 224p 定価3960円(本体3600円+税10%)
刊行日 2013年8月20日
ISBN 978-4-906917-15-0 C0036

●著者紹介

権藤成卿 (ごんどう・せいきょう/せいけい)

1868年生、1937年歿。久留米生れ。在野の東洋古制度学研究者。明治以来の官治主義、資本主義、都会中心主義を批判し、原始以来の伝統的な生産・生活共同体の尊重を訴え、昭和期の農本主義思想家として大きな影響力をもった。昭和恐慌下の農村救済請願運動の中心人物の一人となり、その思想は血盟団事件などの思想的背景をなすものと見なされた。

主要著作、『皇民自治本義』1920年、『日本震災凶饉攷』1932年、『農村自救論』1932年、『君民共治論』1932年、『日本農政史談』1932年、『自治民政理』1936年、『血盟団事件 五・一五事件 二・二六事件 其後に来るもの』1936年。



●目 次

血盟団事件 五・一五事件 二・二六事件 その後に来るもの

序説――社会の転換期
世界大戦が我が国経済界に及ぼした影響
世界大戦後に於ける硬貨の流出
関東大震災の影響
金輸出禁止の解除及び再禁止
生糸市価の暴落
東洋に於ける諸種の変化
公民道徳の頽廃
教育国策の基準
宗教の清浄化について
官紀の振粛
議会政治の問題
国家思想とその反対思想
統制と国民生活
その後に来るもの

自治民政理 後篇

民 性
社 稷
例 制
邑 里
自 制
積 竇
危 傾
更 革



●本書について

本書前半部の底本は『血盟団事件 五・一五事件 二・二六事件 其後に来るもの』(1936年10月、平野書房刊)、後半部の底本は『自治民政理』(1936年4月、学芸社刊)で、ともに権藤成卿最晩年の著作である。後半部は、二部構成の底本より後篇部分を抄録した。