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増補新版 偶然と驚きの哲学――九鬼哲学入門文選

「哲学は驚きに始まり驚きに終わる」

『「いき」の構造』で知られる九鬼周造における哲学的主題「偶然性」。主著『偶然性の問題』以降に書かれた偶然と驚きをめぐる諸論考が、九鬼晩年の到達点「偶然と驚きの哲学」という場所を示す。それぞれが独立した一篇として読める、入門に最適の短篇集。初版に二篇を増補した新版。

ここのリンク先で本書のなかをご覧いただけます(PDFファイル)


著者 九鬼周造
書名 増補新版 偶然と驚きの哲学――九鬼哲学入門文選
体裁・価格 四六判上製 256p 定価3630円(本体3300円+税10%)
刊行日 2011年11月30日
ISBN 978-4-902854-93-0 C0010

旧版(2300円+税)も返品により在庫が生じている場合があります。ご所望の場合はお問い合わせ下さい。
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●著者紹介

九鬼周造 (くき・しゅうぞう)

1888(明治21)年〜1941(昭和16)年。哲学者。東京生まれ。男爵九鬼隆一の子。母波津は岡倉天心との親交のため離縁される。東京帝国大学哲学科、同大学院を経て、1921(大正10)年から1928(昭和3)年、ドイツ、フランス留学。ドイツではリッケルト、フッサール、ハイデガーに学び、フランスではベルクソン、サルトルに交わる。帰国して、京都帝国大学講師就任。のち助教授、教授。ドイツ、フランスをはじめとする西欧の哲学・文学について当時一流の理解を持ち、日本へのハイデガー実存哲学紹介の先駆者となる。また、文学的センスを生かし、日本の伝統文化、詩的言語についての優れた考察を遺す。

著作には、最もよく知られる『「いき」の構造』(1930年)のほか、哲学的主著『偶然性の問題』(1935年)、哲学論文集『人間と実存』(1939年)があり、文芸方面の著作としては『文芸論』(1941年)、詩歌集『巴里心景』(1942年)がある。全集は岩波書店版『九鬼周造全集』(1980〜82年)。岩波文庫版に『「いき」の構造』(1979年)、『九鬼周造随筆集』(菅野昭正編、1991年)がある。



●目 次

偶然と運命
偶然の諸相
驚きの情と偶然性
偶 然 性
偶然化の論理
哲学私見
人間学とは何か

*附 録
 偶然と驚き
 『偶然性の問題』 序・目次・序説・結論
 九鬼周造略年譜/資料



●本書について

本書は九鬼周造の諸著作より「偶然性」に関する文章を選んでまとめたもので、この増補新版で加えたのは、「偶然性」と「偶然化の論理」との二篇である。「偶然性」の一篇以外は九鬼周造の哲学的主著『偶然性の問題』刊行以後のものである。

附録として『偶然性の問題』の序・目次・序説・結論も収録した。なお、九鬼の「偶然性」に関する講義ノートや博士論文も全集版に収められているが、これらは入門的関心に適うものではないと考え、この文選には収録していない(本書巻末略年譜の末尾に参考資料として全集版の目次を掲載した)。

本書に収録した諸篇は、『人間と実存』(昭和14年刊)、『をりにふれて』(昭和16年刊)、『偶然性の問題』(昭和10年刊)の何れかに収められたものか、生前は公刊されなかった手稿である。なお、「偶然と驚き」は「驚きの情と偶然性」の要約版のようなものなので附録扱いとした。また、収録各篇はそれぞれ独立した一篇として書かれ、論題を同じくするものであるため、話題が部分的に重複している場合があるが、いずれも中略することなく掲載した。