華厳哲学小論攷――仏教の根本難問への哲学的アプローチ
事理無礙をこえて事々無礙へ
西田幾多郎の弟子である「忘れられた哲学者」の仏教「純粋経験」論。華厳思想の哲学的可能性を求めて、大乗起信論の示唆する仏教の根本難問に、阿頼耶識の意義を鍵として挑む。形而上学批判としての認識論的仏教研究。
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著者 土田杏村
書名 華厳哲学小論攷――仏教の根本難問への哲学的アプローチ
体裁・価格 A5判上製 160p 定価2970円(本体2700円+税10%)
刊行日 2014年1月20日
ISBN 978-4-906917-23-5 C0014
●既刊 土田杏村の著作 『国文学への哲学的アプローチ』
●著者紹介
土田杏村(つちだ・きょうそん)
1891年生、1934年歿。哲学者、評論家。新潟県佐渡に誕生。本名茂(つとむ)。土田麦僊の弟。東京高等師範学校博物学部で丘浅次郎から生物学を学ぶ。京都帝大哲学科に進学し西田幾多郎に哲学を学ぶ。大学院在学中に雑誌『文化』を創刊し、社会、教育、文学、芸術など多方面にわたる評論活動を開始。以後定職に就くことなく世を去るまで著作活動を継続。また、自由大学運動や新短歌運動を推進。
書籍として出版した著作は次の通り。1914年『文明思潮と新哲学』、1915年『文壇への公開状』、1916年『生物哲学』、1919年『象徴の哲学』、1920年『霊魂の彼岸』、1921年『マルクス思想と現代文化』『文化主義原論』、1922年『唖の如くに語る』『自由教育論(上巻)哲学的基礎に立てる教育学』『華厳哲学小論攷』、1923年『新社会学』『女性の黎明』『自由教育論(下巻)教育の目的及教育者』『文化哲学入門』、1924年『教育の革命時代』『流言』『恋愛のユウトピア』『島国家としての日本の将来』『創作鑑賞教育論(上巻)』、1925年『社会哲学原論』『創作鑑賞教育論(下巻)芸術美の本質と教育』『恋愛の諸問題』、1926年『日本支那現代思想研究』『文学論』、1927年『Contemporary Thought of Japan and China』『源平盛衰記物語』『国文学の哲学的研究(第一巻)国文学序論』、1928年『現代哲学概論』『社会哲学』『社会哲学原論(新版)』『農村問題の社会学的基礎』『現今教育学の主問題』『国文学の哲学的研究(第二巻)文学の発生』、1929年『ユートピア社会主義』『国文学の哲学的研究(第三巻)上代の歌謡』『恋愛論』『思想問題』『草煙心境』、1930年『生産経済学より信用経済学へ』『文明は何処へ行く』『失業問題と景気恢復』『マルキシズム批判』『八犬伝物語』『人生論』、1931年『宗教論』『現今教育学の主問題(改版)』『道徳改造論』、1932年『(改訂増補)農村問題の社会学的基礎』『短歌論』『現代世相論』『文学理論』『人間論』『日本詩歌の発達』『思想・人物・時代』、1933年『国文学の哲学的研究(第四巻)文学と感情』『思想読本』『結婚論』『宗教再建』『紫野雑記』『明日に呼びかける』、1934年『随想 思慕の春』。
●目 次
第1章 仏教に於ける価値と実在の問題――阿梨耶識の真義に就いて――
真如とは何か
有無相作の関係
有無同一の立場
如常随縁の同一的立場
仏教哲学上真箇の問題
阿梨耶識に就いて起る問題
諸註疏の教うるところ如何
意味的世界としての阿梨耶識
余 論
補 遺
第2章 華厳の象徴的教理――法華経と華厳経の関係に就いて――
第3章 三細に就いて
第4章 用染浄の一考察
第5章 仏教に於ける無所有
第6章 仏願と至心信楽――大乗仏教の要諦と奉仕の精神――
願と理想
自力と他力
願既成就
得未曾有
理想と宗教
奉仕の精神
精神的改造
附録1 杏村君の「奉仕と仏教教理」を読む 石川舜台
附録2-1 「仏教に於ける価値と実在の問題」補遺
附録2-2 「華厳の象徴的教理」補遣