廃仏毀釈とその前史――檀家制度・民間信仰・排仏論
廃仏毀釈へと向かう長期の歴史、社会経済事情と宗教の絡みあい
幕藩体制三百年において変質・形骸化・堕落していった仏教。その仏教に対する批判。そしてその当然の帰結と言うべき廃仏毀釈。明治維新の混乱に乗じ、明治政府の意図をこえた極端な廃仏運動が広く展開したのは何ゆえか。幕末にはすでに発火点に達していた廃仏毀釈への傾きを、社会経済的事情と宗教が絡み合う長期の歴史において明らかにする。
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著者 圭室諦成
書名 廃仏毀釈とその前史 檀家制度・民間信仰・排仏論
体裁・価格 A5判上製 256p 定価6930円(本体6300円+税10%)
刊行 2018年6月
ISBN 978-4-906917-80-8 C0015
●目 次
第1部 檀家制度の重圧
新寺院機構の確立/江戸幕府の宗教政策/諸藩の財政と寺院
第2部 民間信仰の繁昌・組織化
宗教界に現れた新動向/宗教寄生者群の登場/修験道の急旋回/教派神道の誕生
第3部 排仏論の展開
儒者の排仏論/懐徳堂の排仏論/正司考棋の排仏論/平田篤胤の排仏論/神葬祭問題/江戸時代の廃仏毀釈
第4部 廃仏毀釈の概観
神仏分離令の発布/廃仏毀釈の実況/封建的領有地の整理/思想善導機関への改組/陣容の再整備過程
附録 近世宗学の特質
教説の定型化/異義異説の禁圧/宗学者点描(1)/宗学者点描(2)
※本書は圭室諦成著『明治維新 廃仏毀釈』(1939年、白揚社刊行)の復刻新版である。本書の書名は、諸々の廃仏毀釈論における本書の特色を明示することを意図して本書刊行書がつけたものである。附録として圭室諦成著『日本仏教史概説』(1940年、理想社出版部刊行)の第15章を巻末に収めた。
●著者紹介
圭室諦成(たまむろ・たいじょう) 1902年熊本県生まれ。東京帝国大学文学部国史学科卒業。東京帝国大学史料編纂所所員、駒澤大学、熊本女子大学教授を経て、明治大学教授。著書に『葬式仏教』『日本仏教史概説』『道元』『西郷隆盛』『横井小楠』などがある。1966年歿。