憂い顔の『星の王子さま』――続出誤訳のケーススタディと翻訳者のメチエ
電子書籍(Kindle版) ※紙版品切
よい翻訳とは何よりもまず正しい翻訳であること、美しい翻訳とは忠実な翻訳であること
「読みつがれる美しい日本語」と宣伝されて半世紀にわたり流通してきた、内藤濯訳の岩波書店版『星の王子さま』。原作の著作権保護期間が満了し、内藤訳に対抗して2005年から翌年にかけて続々と出版された新訳14点。問題のある翻訳と噂されてきた内藤訳の問題点を個別に、そして相互に関連付けて検証し、新訳それぞれがその点にどう対処しているかを検証(2007年5月時点)。個々の訳出事例だけでなく、翻訳というものに関するより一般的な問題をも提起。フランス語学習教材としての価値、そして「内藤濯氏による歴史的名訳」と今も宣伝されていることへの批判の意義は、電子版で復刊の現在も変らない。
●書評記事ページ
著者 加藤晴久
書名 憂い顔の『星の王子さま』――続出誤訳のケーススタディと翻訳者のメチエ
体裁・価格 A5判並製 256p 定価2420円(本体2200円+税10%)
刊行日 2007年5月31日
ISBN 978-4-902854-30-5 C0085
●著者紹介
加藤晴久(かとう・はるひさ) 1935年生まれ。東京大学・恵泉女学園大学名誉教授。元日本フランス語教育学会会長、国際フランス語教員連合副会長。
初版(紙版)書影
●目 次
第T部 批評はハッタリか?
1.『星の王子さま』はオトナのための小説か?
2. ボアはボアだ
3.「飼いならす」とは「絆をつくりだす」こと
第U部 翻訳者の務め
1. 翻訳批評のルール
2.「印象訳」という煙幕
3.「翻訳者=演奏家」の陥穽
第V部 憂い顔の『星の王子さま』
※内藤訳と新訳14点の問題箇所を具体的に検証