偶然と驚きの哲学――入門電子版(電子版限定)

哲学は驚きに始まり驚きに終わる

『「いき」の構造』で知られる九鬼周造における哲学的主題「偶然性」。主著『偶然性の問題』以降の偶然と驚きをめぐる論考が、九鬼晩年の到達点「偶然と驚きの哲学」という場所を示す。

九鬼周造著『偶然と驚きの哲学――九鬼哲学入門文選』(書肆心水、初版2007年刊、増補新版2011年刊)から記述のとりわけ平易な4篇を選んで構成した電子版限定企画。

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※紙版(増補新版)のページ


著者 九鬼周造
書名 偶然と驚きの哲学――入門電子版
刊行 2025年8月
分量 約4万字

●収録内容

偶然と運命 『をりにふれて』(昭和16年刊)所収。
偶然の諸相 昭和11年2月『改造』に発表。『人間と実存』(昭和14年刊)所収。
偶然と驚き 『をりにふれて』(昭和16年刊)所収。
哲学私見 昭和11年6月『理想』創立十周年記念号「我が哲学を語る」に発表。『人間と実存』(昭和14年刊)所収。

●著者紹介

九鬼周造(くき・しゅうぞう)

1888(明治21)年~1941(昭和16)年。哲学者。東京生まれ。男爵九鬼隆一の子。母波津は岡倉天心との親交のため離縁される。東京帝国大学哲学科、同大学院を経て、1921(大正10)年から1928(昭和3)年、ドイツ、フランス留学。ドイツではリッケルト、フッサール、ハイデガーに学び、フランスではベルクソン、サルトルに交わる。帰国して、京都帝国大学講師就任。のち助教授、教授。ドイツ、フランスをはじめとする西欧の哲学・文学について当時一流の理解を持ち、日本へのハイデガー実存哲学紹介の先駆者となる。また、文学的センスを生かし、日本の伝統文化、詩的言語についての優れた考察を遺す。

著作には、最もよく知られる『「いき」の構造』(1930年)のほか、哲学的主著『偶然性の問題』(1935年)、哲学論文集『人間と実存』(1939年)があり、文芸方面の著作としては『文芸論』(1941年)、詩歌集『巴里心景』(1942年)がある。全集は岩波書店版『九鬼周造全集』(1980~82年)。