地理的日本史読本 神話時代から近代まで、軍略から治水まで 「地名の巨人」吉田東伍が語る、海に開かれた“連島”の物語 いまなお高く評価され続ける不朽の業績、未曾有の大辞典『大日本地名辞書』を独力で編纂した「地名の巨人」吉田東伍が、おのおの読みきりの 61 話で語る日本通史。 「時代」「人間」「場所」が揃って初めて歴史はリアルになる。――場所すなわち地理的事情が、人の思惑と歴史の流れる方向を規定する様を語る、日本歴史地理学の開拓者ならではの仕事。地理的イメージで日本史の大きな流れをつかむ、ユニークな日本史読本。 |
著者 吉田東伍
書名 地理的日本史読本 (ちりてき・にほんし・とくほん) 神話時代から近代まで、軍略から治水まで
体裁・価格 A5判上製 320p 定価5170円(本体4700円+税10%)
刊行日 2009年8月30日
ISBN 978-4-902854-62-6 C0021
著者紹介
吉田東伍 (よしだ・とうご)
1864年越後国蒲原郡保田村生まれ、1918年歿。歴史地理学者。代表的著作は『大日本地名辞書』(初版全11冊1900〜07年、冨山房刊)。独力で編纂した『大日本地名辞書』は13年がかりの仕事で、取り上げられた地名4万1000項目からなる未曾有の大辞典。同書は現在もなお歴史地理学の基礎資料として評価高く活用されている(現在販売中の増補版は全8巻構成、各巻約1000頁)。
その他の主な著作に、日韓関係史の起源を検証する『日韓古史断』(1893年)、画期的な水利書『利根治水論考』(1910年)、歴史を現代から溯って古代へと叙述する『倒叙日本史』(全11冊、1913〜14年)がある。なお専門外の業績として、『世阿弥十六部集』校註版(1909年)を能楽会(発行者:池内信嘉)より刊行したことがある。同書によって世阿弥の秘伝書が初めて一般に知られることとなり、能に関心を持つ当時の読書子を青天の霹靂のごとく驚かした。
主な経歴は次の通り。1883年小学校教員検定合格、大鹿小学校教員。1892年読売新聞入社。1901年東京専門学校(翌年早稲田大学と改称)講師。1908年国史東洋史主任。1909年文学博士。1911年教授。1917年早稲田大学理事。
吉田東伍の評伝として、千田稔著『地名の巨人 吉田東伍――大日本地名辞書の誕生』(2003年、角川書店刊)がある。阿賀野市立吉田東伍記念博物館の所在地は、新潟県阿賀野市保田1725-1(〒959-2221、電話0250-68-1200)。
目 次
*本書の原本は吉田東伍著『地理的日本歴史』(1914年発行、南北社刊)ですが、同書の個性をより詳しく示すべく、書名を『地理的日本史読本――神話時代から近代まで、軍略から治水まで』と敷衍してあらためました。
高天原と大八洲
神武東征
太古の産業状態
四道将軍
農村と市
氏姓と地名
日本武尊と東国
三韓と我が国土
韓国服属後の瀬戸内
上代都市の制と奈良の京
国 分 寺
奈良朝における地方経済
平安朝における仏徒の道路改修事業
三関と京都
遣 唐 使
都市仏教と山岳仏教
純友・将門の乱
延喜の地方政治と国家経済
武門の興起
延久の帝政
院政と鳥羽離宮
為朝と義経の末路
源平の海戦
鎌倉市街の制
守護地頭
承久戦後の土地経営
宋・高麗との交通
弘安の役
宴曲に見ゆる地理上の逸話
時頼廻国説
宗教の革新
鎌倉の軍備的価値
建武の新制令
足利尊氏の戦略
南北朝以前寺社の勢力
室町幕府の明貿易
足利時代の交通制度
戦国の新田制
足利学校と金沢文庫
戦国時代における経済上の中心地
貿易港の変遷
乱世の東国
町の発達
安 土 城
天正検地
朝鮮役と陶業
封建の形勢
三都の形勢
朱印船の盛況
幕府と五街道
坂東の水脈
江戸時代の治水法
河村瑞賢と海運業
江戸幕府と地方自治制度
長崎における清蘭貿易
吉宗と世禄給士の法
徳川時代の行商
幕府衰亡と諸藩の治績
北海道の開拓
交通革命
世界における日本の地位