さなぎとイマーゴ ボードレールの詩学 泥をこねて黄金をつくる。 傷ついたままの幸福の技法とは何か? 予備知識不要、ボードレール・ワールドへの直行便。ボードレールの詩作品をふんだんに引きながらのボードレール読み解き旅行。 詩を読むこと、詩を書くこと、この言語行為は人間にとってどんな意味があるのか――ボードレールと考える。 「羽化した思いは、美しい色の蝶となっておびただしく舞っている。成虫のことをimagoという。現実のなかで幼虫であった感覚的印象や思いが、まるで忘れられたかのようにとなっている期間を経て、美しく変態したイメージとなって、今、眼前にあらわれ、意識されている。」 |
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著者 岩切正一郎
書名 さなぎとイマーゴ ボードレールの詩学
体裁・価格 四六判上製 384p 定価4180円(本体3800円+税10%)
刊行日 2006年8月30日
ISBN 4-902854-18-X C0098
著者紹介 岩切正一郎 (いわきり・しょういちろう)
1959年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。現在、国際基督教大学教授(フランス文学)。訳書に、ゴーギャン著『ノアノア』筑摩書房(ちくま学芸文庫)、カザノヴァ著『世界文学空間』藤原書店、ジラール著『サタンが稲妻のように落ちるのが見える』等。詩集に、『秋の余白に』『エストラゴンの靴』ふらんす堂、『木洩れ日の記憶・蛹の夜』七月堂、等。
蜷川幸雄の演出作品『ひばり』(ジャン・アヌイ作)と『カリギュラ』(アルベール・カミュ作)の翻訳を担当し、優れた戯曲翻訳・脚色に贈られる「第15回湯浅芳子賞」を受賞。
目 次
第一章 孤独と売春
1 甘い香りの花と香水壜
2 呼びかけと暴力と誘い
3 黄金時代と愁い
4 匂い・夢想・娼婦
5 愛と唾液
6 自分のなかのもうひとつの地平
第二章 解読と伝達
1 似姿と他者
2 音による亀裂の認識
3 〈君〉の未知の姿
4 真実の〈君〉
5 「驚異」との出会い
6 物語・詩・伝説
7 ファンタスムを充当される〈私〉
8 博士の狂気と理性の危機
第三章 保存と変質
1 〈私〉という記憶の場
2 香水壜 ―― さなぎとイマーゴ
3 メタフォリックな記憶
4 白 鳥 ―― トートロジーとアレゴリー
5 シテール島への旅