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百フランのための殺人犯――三面記事をめぐる対談

●『NRF』誌を長く仕切った編集長、「仏文学界黒幕」ジャン・ポーランの洞察

精神のパラドクス――あるいは間違った判断をする我々。その妄想的判断の避けがたさと、それに及ぼす言語の不思議な効果。ポーランが友人と交わした対話を素材に、精神と言語の最深部にひそむ神秘を軽妙に語り合う対談仕立てのエッセー。

原書 Jean Paulhan, Entretien sur des faits divers, Gallimard, 1945

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著者 ジャン・ポーラン (Jean Paulhan)
訳者 安原伸一朗
書名 百フランのための殺人犯――三面記事をめぐる対談
体裁・価格 A5判上製 160p 定価2750円(本体2500円+税10%)
刊行日 2013年10月30日
ISBN 978-4-906917-19-8 C0098

●書評記事 ※別ページへ

●著者紹介

ジャン・ポーラン

1884年12月2日、南フランスのニームに生まれる。ソルボンヌ大学卒業後、マダガスカルで高校教師を務める。1920年よりガリマール社の文芸誌N.R.F.で働き始め、1925年より死去するまで大戦期を除き約40年にわたって編集長を務める。1955年、『O嬢の物語』に序文を寄せる。1968年10月9日死去。

著書に『タルブの花――文学における恐怖政治(テロリスム)』(野村英夫訳、『言語と文学』、書肆心水、所収)、『詩の鍵』(高橋隆訳、国文社)など。現在、ガリマール社より全集が刊行中。

●訳者紹介

安原伸一朗 (やすはら・しんいちろう)

1972年生まれ。学習院大学文学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻修士課程、パリ第八大学第三課程修了(文学博士)。現在、日本大学商学部准教授。共著に、『文学・芸術は何のためにあるのか ?』(東信堂)、『公の中の私、私の中の公』(日本評論社)。訳書に、ジャン=リュック・ナンシー『無為の共同体』(共訳、以文社)、モーリス・ブランショ『問われる知識人』(月曜社)、『ブランショ政治論集 1958-1993』(共訳、月曜社)など。

●目 次

I 全体性の幻想 あるいは精神のもつ数々のパラドクス

プサメニトゥス王の悲しみ
ブリアンを描いた肖像画
歴史の難しさ
液体と気体
幻想の犠牲となった殺人犯
いつも遅刻する人々
無知な人は良い教師

II 過去の予見 あるいは自然なものの探究

暦売り
昨日私は間違えていた
百フランのための殺人犯
自転車事故
ルーレットで勝つ方法
今回ばかりは別なんだ
美しさを作るいくつかのレシピ

III 埋め合わせ および心的遠近法

繊細さについて
一般人と観客
工事現場の警備員の不可解な死
再び新聞の売り子
時間の消滅について
危険のパラドクス
海辺での十日間

IV 論法の用い方 あるいは理性の宮殿(パラッツォ・デッラ・ラジョーネ)

二つに一つ
いかにして自分の幻想を守るか
あなたもまたその一人
口論のゆくえ
私が間違っていることを証明してくれたまえ
一円は一円である
あらゆる理性における、狂気じみた側面
プサメニトゥス王に再会する場所

訳者解説