極東裁判と国際法――極東国際軍事裁判所における弁論
国家ではなく個人を国際法で、かつ事後法で裁いた不法性。
倫理上の罪悪、国政上の責任と、国際法上の犯罪の混同を批判。
政治が法治を力で押し切る現場の歴史的な記録。政治と法治、法と倫理の境界画定をめぐる法学的な理論闘争。人類の近代的法治の歴史に深い傷とわだかまりを残した一大事件の現場である東京裁判の法廷で、簡潔に力強く示された反駁。東京裁判における「侵略戦争は個人責任を伴う犯罪である」というテーゼが倫理的立場ではなく法的立場からは否定される理由を明示する。(英語原文を併録)
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著者 高柳賢三
書名 極東裁判と国際法――極東国際軍事裁判所における弁論
体裁・価格 A5判上製 256p 定価6930円(本体6300円+税10%)
刊行 2019年10月
ISBN 978-4-906917-96-9 C0032
目 次
序 言
序 説
第1部
第1 降服文書と裁判所条例
第2 共同謀議
第3 侵略戦争
第4 国際法条約等を侵犯する戦争
第5 殺人の罪
第6 「通例の」戦争犯罪
第7 個人責任
第8 検察側の提唱する新国際法理論
第2部
1 「戦争犯罪人」
2 不戦条約と自衛権
3 共同謀議
4 殺人の罪
5 「通例の」戦争犯罪
6 被告人の責任
結 語
THE TOKIO TRIALS AND INTERNATIONAL LAW(英語原文)
●著者紹介
高柳賢三(たかやなぎ・けんぞう) 英米法学者、法学博士。1887年生、1967歿。東京帝国大学法科大学卒業。同大学助教授を経て、1921年東京帝国大学法学部教授、1948年退官(名誉教授)。のち成蹊大学学長(名誉教授)。東京裁判で弁護人を務め、貴族院議員として新憲法案の審議に参加。憲法調査会会長、学士院会員、米国学士院会員、国際比較法学会正会員、国際仲裁裁判所裁判官。主要著訳書『英米法講義』(第1巻『英米法源理論』第2巻『英国公法の理論』第3巻『司法権の優位』第4巻『英米法の基礎』)、『天皇・憲法第九条』、ロスコー・パウンド『法と道徳』(共訳)、ロスコー・パウンド『法律史観』ほか。