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東洋的芸術精神――大西克礼美学コレクション3

日本特有の美概念を理論的に把握する大西選集・全3巻

東洋的芸術精神のパントノミー即ち本源的綜合性とは何か。生活の全面と深く一体化する芸術の心を綜合的に理論化する。西欧美学の枠を破り東洋の美概念をも組み込んだ新たな普遍美学への試み。大西克礼美学研究の最終的到達点を明示する大作の遺稿。

コレクション1巻 幽玄・あはれ・さび
コレクション2巻 自然感情の美学

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著者 大西克礼
書名 東洋的芸術精神 大西克礼美学コレクション3
体裁・価格 A5判上製 416p 定価7040円(本体6400円+税10%)
刊行日 2013年5月30日
ISBN 978-4-906917-13-6 C0070

●著者紹介

大西克礼 (おおにし・よしのり)

1888年生、1959年歿。美学者。東京大学名誉教授。

主要経歴
1913年、東京帝国大学文科大学哲学科卒業。1914年、同大学院退学。1927年、東京帝国大学助教授となり、美学研究のためドイツ、イタリア、フランス留学。1929年、東京帝国大学文学部美学美術史第一講座担任となる。1931年、東京帝国大学教授となる。1946年、帝国学士院会員となる。1949年、東京大学停年退官。

主要著作
『美学原論』(1917年) 『現代美学の問題』(1927年) 『カント「判断力批判」の研究』(1931年) 『美意識論史』(1933年) 『現象学派の美学』(1937年) 『幽玄とあはれ』(1939年) 『風雅論――「さび」の研究』(1940年) 『万葉集の自然感情』(1943年) 『自然感情の類型』(1948年) 『美学』(上巻1959年、下巻1960年) 『古典的と浪漫的』(1960年) 『浪漫主義の美学』(1961年) 『浪漫主義の美学と芸術観』(1968年) 『東洋的芸術精神』(1988年)

主要訳書
カント著『判断力批判』(1932年)



●目 次

序論 芸術精神と神話意識

第1篇 東洋的芸術精神と美的文化の展開

第1章 「パントノミー」的構造の持続

1. 美的文化の展開
2. 「パントノミー」(1. 外的綜合性)
3. 「パントノミー」(2. 内的綜合性)

第2章 根源的本質性の深化

1. 「詩」と「芸術」
2. 感覚性と観念性

第3章 消極的自律性の強調

1. 芸術と遊戯性及び遊離性
2. 芸術と装飾性及び技巧性

第4章 芸術と生活との深層的融合

1. 芸術と生活
2. 芸術家に於ける「芸術」と「生」との関係
3. 翫賞者に於ける「芸術」と「生」との関係 (附、「芸術の生活化」)

第2篇 東洋的芸術精神と美的意識の構造

第1章 芸術感的契機と自然感的契機

1. 美的自然体験の発展方向
2. 芸術美及び自然美に於ける形態化と没形態化

第2章 直観と感動

1. 感性的直観と感動
2. 形態的直観と感動
3. 知的直観と感動

第3章 制作と享受

1. 美的自然体験に於ける生産と受容
2. 芸術美的要素と自然美的要素との結合
3. 芸術体験に於ける生産と受容

第3篇 東洋的芸術精神と浪漫主義

第1章 浪漫主義の世界観

1. 浪漫主義的世界観の前提
2. 美的観念論
3. 東洋的世界観 (附、プロティノスの哲学)

第2章 浪漫主義的世界観と芸術精神

1. 芸術精神に対する世界観の影響
2. 美意識の積極性及び消極性と浪漫主義

第3章 東洋的芸術精神と浪漫主義的芸術観

1. 東洋的芸術精神の諸傾向と浪漫主義
2. 芸術的象徴の問題
3. 「浪漫的イロニー」
4. 「浪漫的共同」
5. 芸術諸形式の類縁性

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